2015年3月刊『北朝鮮ポップスの世界』高英起、カルロス 矢吹 著
『週刊文春』2015年4月30日号文春図書館
北の国から
『北朝鮮ポップスの世界』 髙英起・カルロス矢吹
北朝鮮にだって音楽はある。最初の北朝鮮ポップス「金日成将軍の歌」にはじまり、YMOの影響色濃くシンセサイザーを奏でる普天堡(ポチョンボ)電子楽団、現代的なエンターテイメント集団・牡丹峰(モランボン)楽団まで。かの国の音楽が海外の流行を取り込みながら発展してきたという意外な歴史を辿る一冊だ。
紹介されている曲はどれもネット上で聴ける。是非、本書を読みながらめくるめく北朝鮮ポップスの世界を体験してみてほしい。(熊)
『週刊読書人』2015年8月7日 図書館選定図書
北朝鮮という国が特殊な国であることは間違いないが当然音楽はある。他国と異なる規制がある事情を含め、この国のポップスのガイド本。
『朝鮮日報』2015年6月27日
「朝鮮学校物語 ─あなたのとなりの『もうひとつの学校』」
朝鮮学校を知るための入門書
「高校無償化」からの除外、自治体からの補助金カット、さらには在特会(在日特権を許さない市民の会)による京都朝鮮学校襲撃など民族教育関係者にとって大きな衝撃的なできごとが重なる中、朝鮮学校への理解を深めるための手引きとして、昨年9月、南朝鮮の図書出版ソニンから「朝鮮学校物語」が出版された。本書はその日本語版である。
第1部「知ってみよう朝鮮学校」、第2部「それぞれの朝鮮学校物語」で構成される本書には、「朝鮮学校Q&A」「朝鮮学校の歴史と現在」に加え、卒業生や保護者それぞれの思いと、南朝鮮で朝鮮学校への支援活動を続けているモンダンヨンピル代表・権海孝さんのエッセイが収録されている。
日本語版出版編集委員会は、モンダンヨンピルをはじめとした南朝鮮での草の根の朝鮮学校支援活動や映画「ウリハッキョ」「60万回のトライ」そして本書の出版など、近年、南朝鮮社会において朝鮮学校への理解と支援の輪が広がりつつある中、日本でも市民たちの朝鮮学校理解の一助になることを望み、朝鮮高校無償化裁判の只中にある今、日本語版の出版に取り組んだと明かした。
南北分断と戦後の冷戦、日本における「北朝鮮憎悪」、そして在日朝鮮人に対する差別・弾圧政策といった極めて政治的な状況が、否応なく朝鮮学校へのまなざしをゆがめる中、朝鮮学校の素顔を知ってもらうための入門書が出版された意義は大きい。たくさんの日本の友人たちに読んでもらいたい。(潤)